<アリとキリギリス・人魚姫・白雪姫・シンデレラ・おやゆび姫 他より>

加茂幸子・展

− 文学からの啓示 −

2005年4月16日[土]―24日[日]
10:30AM−7:00PM(火曜休廊)

 

以前より彫刻家・加茂幸子は、グループ展の一作家として画廊翠巒にて度々ご紹介させていただいてきましたが、この度新作を中心とした個展を開催させていただくこととなりました。

加茂幸子はテラコッタという素焼き陶器で、視覚的に柔らかな質感をもつその素材上に着彩し磨き上げることで、多くの彫刻作品とは異なる絵画的な制作手段によって以前より、私小説的な、情緒的で、郷愁を秘めた、それでいてとても造形的な独特の世界を確立してきました。

ある意味、叙情性や文学性を排除してきた、20世紀以降の美術の方向性とは異なる方向性を歩んできたこととなります。

個人の感情や価値観を排除して、より純粋なる芸術を追求してきた現代でありながら、今日の殺伐とした現代社会の中では、失いかけた乾いた感情や傷ついた私小説的な現代人に、今日の美術とは対極的な加茂幸子の作品は、理屈を無意味にするかのように「心に降る恵の雨」のような安堵感と共に、不思議な魅力を秘めた作品としてその存在の意味を示してくれます。
本展では、特に著名な文学作品を題材とし制作された作品を中心に約15点、ご高覧頂きます。

2005年4月吉日 画廊翠巒主 梅津宏規

幼い頃に読んだ 童話 寓話たちは
今も 時々 一緒に生きているような気がします。
何かの出来ごとのたびに それは 引っ張り出され 
戒められたり 指針を示されたり
アリとキリギリスに怯えたこと。 
人魚姫の美しい恋の話に 心を動かしたこと。
いつしか それらの物語たちは 
長らく携えるうちに 少しづづ 形をかえていきました。

加茂幸子

 

【左】「幸福の林檎 白雪姫より」テラコッタ、彩色 30×18×26cm

【中央】「かぼちゃの魔法 シンデレラより」テラコッタ、彩色 40×15×16cm

【右】「今を歌おう アリとキリギリスより」テラコッタ、木、彩色 75×41×34cm

 

【左】「つづく調べ アリとキリギリスより」テラコッタ、木、彩色 38×24×26cm

【上中央】「誕生 おやゆび姫より」テラコッタ、彩色 13×18.6×19cm

【上右】「月の舟 人魚姫より」テラコッタ、彩色 34×34×27cm

【下】「やがて春が来る アリとキリギリスより」テラコッタ、彩色 26×79×44cm

 

加茂幸子 略歴 KAMO SACHIKO
1972東京都に生まれる
1995埼玉大学教育学部美術科卒業、本田貴侶に師事
浦和市展市長賞受賞
1996浦和市展議長賞受賞
1997埼玉大学大学院修了
第32回昭和会展出品 同‘99 ’00
1998個展 (ギャラリーアートもりもと/京橋)同‘00 ’04
2000女性による−彫刻6人展 (新宿パークタワーギャラリー・1) ’02
2001site−彫刻家たち− (ギャラリーアートもりもと・東京) 以後毎年
第3回丸沼芸術の森展 (丸沼芸術の森展示室/埼玉) 〜’03
個展 (アサヒギャラリー/山梨)
2002個展 (美術サロンゆたか/金沢)
2004個展 (天王洲セントラルタワー・アートホール/品川)
現代彫刻の表現・展 −Site− (画廊翠巒/群馬)
埼玉大学教育学部非常勤講師・福島県在住
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