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2014年画廊企画PART 5

広沢 仁 展
2014年 9月13日[土]―21日[日]
am10:30-pm7:00 (火曜休廊)

― 新しい滝と古い小径 ―


「新しい道」シルクスクリーン、蜜蝋、パネル、145X112cm ed.2




この度、2年ぶり3回目となる広沢仁による個展を開催します。
近年、積極的に制作に取り入れているシルクスクリーンによる金泥や銀泥の下地をベースにした半具象の作品とする広沢氏独自のシルクスクリーンによる蜜蝋下地ベースの作品を中心にご高覧頂きます。
東日本大震災を切っ掛けに、人と社会との仕組みや様々な関係性などに興味が移行し、生と死の深層にまで思いを深め乍ら制作する作品には、これまでとは異なるデザイン的で構成的な軽やかな作風から、もっと人間的な情緒を感じる即興的な上に、元来備わるセンスに裏付けされた魅力的な作風へ変化しつつあります。
本展は、新作、近作を含め約15点の作品をご高覧下さい。

画廊主 梅津宏規

展覧会タイトル「新しい滝と古い小径」は、レイモンド・カーヴァーの詩を元にしていますが、どこで入れ違えたか、記憶が混濁/混淆し、改めて読み直すとタイトルも内容も少々異なっていました。私たちは日々細胞が生まれ変わり(死滅し)、それと同時に思考、記憶も更新されて、本来の出来事(記録)と軌道がずれていきます。あるいはそのずれ方、元のイメージと組成から別種の「似て非なるもの」への変容、展開の過程が版画的だといえるかもしれません。

先日、動物園からヒョウが逃げ出し飼育員を次々と襲っていくというショッキングなニュースに目を奪われました。おそらくは監視カメラであろうその鮮明な画像からはマイブリッジの連続写真のように決定的瞬間、野生動物の馴致されない本来的な力、根源的な憤怒の発露、すなわち私たちの日常の薄皮をめくればコントロールしていると受け止めているものの基盤がいかに脆弱であるか、いかに無力であるかを改めて突きつけられるようでした。
昨今、「科学」の自明性が崩れて来ています。そこには、驕慢や怠惰が一因としてあるのでしょうが、その根底には「畏怖」の感覚が抜け落ちてしまっているのが大きいと思います。細胞にしろ、原子にしろ、芸術にしろ、私たちは宿命的な無力感を前提として畏怖しつつ接していかねばなりません。
自らの意思の下に服従させ、出来するものを支配するのではなく、分をわきまえ、謙虚に祈るように版画に向き合いたいと思っています。

広沢 仁



 「古い小径」
72.5X53cm シルクスクリーン、紙 ed.5  2014



「ザック」
72.5X53cm シルクスクリーン、紙、ed.5  2014



 「よたか」
72.5X53cm シルクスクリーン、紙 ed.5  2014.


 「遠い歌」
シルクスクリーン、蜜蝋、パネル 145.5X112cm ed.2  2014


 「路上」
 72.5X53cm シルクスクリーン、蜜蝋、紙 ed.2  2014



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